放課後等デイサービス

目次

放課後等デイサービスは今では児童福祉法のサービスに組み込まれていますが、自立支援法時代には児童に対する唯一のサービスとして多くのNPOなどが実施していました。

提供するサービスは「学校終了後または休業日において、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与する」とあります。

  • 自立生活を営むために必要な訓練や創作的活動、余暇の提供等、多彩なメニューを設け、本人の希望を踏まえたサービスを提供。
  • 学校との連携・協働による支援。

サービスの対象は「学校教育法第1条に規定している学校(幼稚園及び大学を除く)に就学しており、授業の終了後又は休業日に支援が必要と認められた障害児」となっています。

人員用件

  • 管理者
  • 児童発達支援管理責任者 ⇒ 1人以上(管理者との兼務可)
  • 児童指導員、保育士又は障害福祉サービス経験者(1人以上は常勤)
    • 合計数が以下の区分に応じてそれぞれに定める数以上
      • 障害児の数が10人まで ⇒ 2人以上
      • 10人を超えるもの ⇒ 2人に、障害児の数が10を超えて5又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上

「半数以上は、児童指導員又は保育士」について
これは全従業員の割合の話ではなく、上記した基準上の話です。

つまり、「障害児の数が10人まで⇒2人以上」の部分について半数以上は「児童指導員又は保育士」を置く必要があるということです。

上記の基準を満たしていれば、理学療法士等が何人勤務していても問題になりません。

配置する人員についての要約

もう少し端折って記載すると、

児発管以外に最低限配置しなければならない人数は2名です(定員が10名の場合)。
そして、その2名の要件は

  • 保育士
  • 児童指導員
  • 障害福祉サービス事業経験者(2年)

上記となります。
2名のうち1名は必ず常勤で配置する必要があります。

障害福祉サービス事業経験者を常勤で配置すれば他の保育士なり児童指導員は非常勤で良いことになります。

ただ、非常勤で良いと言ってもサービス提供時間内(福岡市の場合は営業時間内)は常に児発管「以外」の人員を2人配置する必要があります。
福岡市の場合、人員の配置は「営業時間配置」となるため注意が必要です。

児童指導員の要件は次項をご覧ください。

障害福祉サービス事業経験者とは、就労継続支援A型やB型、共同生活援助や生活介護など障害福祉サービス事業の実務に従事したことがある人を指します。

必要な書類の例として

  • 保育士 → 資格証
  • 児童指導員 → 資格証(社会福祉士等)、実務経験証明書(2年)+学校修了証書
  • 障害福祉サービス事業経験者 → 実務経験証明書(2年)

上記となります。

ここで、年数の考え方ですが1年の日数は最低でも180日の勤務実態が必要なため、2年の場合は360日以上、3年の場合は540日以上の日数が最低限必要になります。

児童指導員について

児童指導員の要件は幾つかあります。

  1. 都道府県知事の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成
    施設を卒業した者
  2. 社会福祉士・精神保健福祉士の資格を有する者
  3. 学校教育法の規定による大学の学部で、社会福祉学、心理学、教育学若しく
    は社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
  4. 学校教育法の規定による大学の学部で、社会福祉学、心理学、教育学又は社
    会学に関する科目の単位を優秀な成績で修得したことにより、同法第百二条第
    二項の規定により大学院への入学を認められた者
  5. 学校教育法の規定による大学院において、社会福祉学、心理学、教育学若し
    くは社会学を専攻する研究科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
  6. 外国の大学において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専修す
    る学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
  7. 学校教育法の規定による高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者、同法
    第九十条第二項の規定により大学への入学を認められた者若しくは通常の課
    程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに
    相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣がこれと同等以上
    の資格を有すると認定した者であって、二年以上児童福祉事業に従事したもの
  8. 学校教育法の規定により、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中
    等教育学校の教諭となる資格を有する者
  9. 三年以上児童福祉事業に従事した者であって、知事が適当と認めたもの

上記のうち、要件として満たしやすいのは7番だと思います。
放課後デイは児童福祉事業に該当するため、これまで放課後デイに2年以上勤務経験があり且つ高校(中学)を卒業していれば要件を満たすことになります。

ただ、この場合は学校の卒業証明書に加え実務経験証明書を提出する必要があります。

保育士資格を持っている人を探すよりは児童指導員の要件7に該当する人を探した方が人員を確保しやすいのではないかと思います。

また、8についても教員免許を持っていれば今のところは実務経験を問わない形なので、要件としては満たしやすいと言えます。


施設要件

  • 指導訓練室には、訓練に必要な機械器具などを備えること
  • その他、指定放課後等デイサービスの提供に必要な設備及び備品などを備えること

福岡市の場合、指導訓練室の広さは利用者一人あたり2.47㎡とされています。

このため、利用者の定員が10名の場合は24.7㎡となり、言い換えると7.5坪(15畳)程度となります。

福岡県の場合も2.47㎡が一つの目安と言えますが、北九州市は3㎡以上を確保するようにしましょう。

ヒント:

福岡県への申請の場合、建築・消防・都市計画に関する各窓口との協議記録を作成し、申請書と一緒に提出する必要があります。

福岡市への申請は令和3年度より提出書類に以下が追加されました。

  • 検査済証
  • 確認済証
  • 建築確認等台帳記載事項証明書

上記いずれか1通があればOK。

事業所探しは難航することも

放課後等デイサービスの事業所探しは意外と苦労するケースが多く見られます。

最初は大家さんも悪い顔をしていなかったのに、事業内容を聞いた途端に断られるといったことも多々あります。

これは「子供」を預かるということで騒音などを気にしてのことです。

放課後デイがどういう事業なのかが一般には知られていないケースも多く、同じ理由で提携医療機関を探すことに苦労するケースもあります。

ただ、サービス内容を丁寧に説明し了承してくれる大家さんもいるため良い物件の場合は諦めずに交渉してみましょう。

例えば既に開業している事業所の写真などを持参し、実際に行われている事業がどういったものなのか、騒音などについてはどうなのかなど分かり易く説明する必要があると言えます。

それでも敬遠されがちではありますので、事業所探しには真っ先に取り組むことをお勧め致します。

指定日までの流れが異なります

福岡市に申請する場合と福岡県へ申請する場合とで開業(指定)日のスケジューリングが異なります。

福岡市の場合

指定予定日の5ヵ月前の月末までに事前協議の予約をする必要があります。

つまり、物件や人員なども揃っていたとしてもすぐに申請をすることが出来ないことになります。

例えば9月1日の指定を目指すのであれば4月末までに事前協議の予約を取り、後に行われるヒアリングの際には収支予算書も含め書類の準備が必要です。

こうしたことから、福岡市へ申請をする場合はどんなに早くても開業できるのは5か月後になる点を頭に入れておく必要があります。

福岡県、久留米市の場合

申請先が福岡県(県庁)や久留米市の場合は毎月16日までに申請書を提出すれば翌々月の1日に指定がおります。

もちろん、事前協議に臨む必要はありますが電話で予約を取り、必要な書類を持参すれば問題ありません。

このため、福岡県や久留米市への申請の場合は物件等の準備さえ整っていれば手続きをどんどん進めることが可能とも言えます。

北九州市の場合

北九州市の場合は市のホームページ上では事前協議に入るのは指定予定日の「概ね6ヶ月前」とされておりますが、実際には6ヶ月待たずとも手続きを進める事は可能です。

放課後等デイサービスの勤務時間について

上記「人員要件」にも触れたように、管理者及び児発管は常勤を、保育士または児童指導員の一人は常勤であることが求められます。

では、この「常勤」についてですが何時間働く必要があるのでしょう?

一般に常勤者が勤務する時間と言うのは事業所ごとに自由に決めることが可能です。

週の上限は40時間ですが、下限は32時間となっております。

一般的に放課後デイのサービス提供時間は平日の場合は学校終了後から18時頃まで設定しているケースが多いと思いますが、常勤者は最低でも週に32時間勤務する必要があります。

このため、1日5時間勤務を6日間続けたとしても最低数の32時間を超えることになりません。

とは言え、学校休業日に当たる土曜日などは朝から営業すると思いますので、上記は余り問題にならないとも言えます。

逆に週40時間を超えるような人員配置は認められませんので、これらの点を踏まえて営業時間を検討するようにしましょう。

多機能型について

放課後等デイサービスの人員要件や施設要件を満たす場合、同時に児童発達支援事業の要件も満たすことになります。

午前中からお昼過ぎまでを児童発達支援、お昼過ぎから放課後等デイサービスとして稼働させることも可能です。

こうした多機能型を選択する場合、利用者の定員について特例を用いて運用することが可能です。

上記したように児童発達支援と放課後デイを多機能型として行う場合、「両事業を通じて」10人の定員とすることが可能です。

例えば、午前中に行う児童発達支援の利用者が2人の場合、午後からの放課後デイは8人を受け入れることが可能です。

定員の10人以内であればどういう人数の組み合わせでも構いません。

また、訓練室を明確に分けることが出来るのであれば1日を通して両事業を行うことが可能です。